今回は、各塾のHPに掲載された開成中学校の合格体験記(2020年受験分、2021年受験分)を読んでみて、書いてあった内容のうち、メンタルや学習法・勉強法で参考となりそうなポイントをまとめてみました。
(四谷大塚、サピックス、日能研、早稲田アカデミー、エクタスの体験記に基づいています。)
メンタルでは、「絶対に合格する」、「あきらめない」、「開成に行きたい」といった強い意志や、優れた仲間と切磋琢磨することが重要との意見が多く見られました。
また、学習法・勉強法では、「苦手教科をなくす」、「基礎の重要性」、「弱点・間違えた問題の復習の重要性」、「スランプからの脱出」が重要との意見が多く見られました。
超難関である開成の合格体験記ですが、このような合格生の経験は、他の学校の入試対策としても、とても役に立つと思います。
それでは、開成入試の基礎的情報に続いて、合格体験記において、具体的にどのようなことが書かれていたのか、ポイントの形でまとめてみました。
【試験時間と配点】
2/1 8:30~14:00(弁当持参)[結果発表:2/3正午頃ホームページにて]
(出願(インターネット)は12/20~1/22)
(国語)(算数)(理科)(社会)
50分 60分 40分 40分
85点 85点 70点 70点
(合計)310点
【合格最低点、合格者平均点】
合格者平均点(点数は小数1位を四捨五入)
(2021) (2020) (2019 ) (2018) (2017) (2016)
218 211 232 241 213 215
70.3% 68.1% 74.8% 77.8% 68.6% 69.2%
合格最低点:
201 193 218 227 195 196
64.8% 62.3% 70.3% 73.2% 62.9% 63.2%
【科目別合格者平均得点率】
国語 算数 理科 社会 合計
(2021) 68.2% 65.6% 77.3% 71.3% 70.3%
(2020) 60.6% 58.2% 80.0% 77.6% 68.1%
(2019) 58.8% 76.0% 93.1% 74.4 % 74.8%
(2018) 64.9% 86.9% 68.5% 63.3% 77.8%
(2017) 56.7% 64.5% 87.9% 56.8% 68.6%
(2016) 56.9% 63.2% 87.7% 72.9% 69.2%
【2021年塾別合格者数(カッコ内は2020年入試分)】
各塾のHPの数字です。
(定員が300名であり、塾間で重複計上の可能性があります。)
・サピックス :269(286)
・四谷大塚 :106(106)
・早稲田アカデミー:127(111)
・日能研 :30(38)
【合格体験記のポイント】
○メンタル
(「絶対に合格する」、「あきらめない」、「開成に行きたい」との強い意志が重要)
・文化祭や体育祭に何度も足を運ぶうちに、「絶対合格して、ここに通う!」という気持ちが強くなり、モチベーションを上げるのに役立った。
・5年生の夏に引っ越しと転校でストレスを抱え、1カ月間塾に通えない時期があったが、塾の先生のあたたかい言葉をもらいながら、ゆっくり心を休めてから、「開成はあきらめない!」との気持ちを持って、再び通塾を開始できた。その後も、塾の先生に相談しながら受験を乗り切ることができた。
・根性・努力があるかどうか。
・模試での合格率は芳しくなかったが、「開成コースでやってきたので、開成を受験したい」との強い意志で、受験を決めた。
・1回1回のテストの結果はあまり気にせず、「第1志望に合格する」という強い気持ちを持ち続けることが大切。
・秋以降の模試で思ったような結果が出ず、苦しかったが、「開成に行きたい」という意思は揺るがなかった。あきらめない気持ちが一番の勝因。
・2回目のサピックスオープンでは絶望的な結果。得意でない国語だけでなく、得意の算数も低かったが、開成に行きたい強い思いで頑張った。
・思考型の問題が好きで学校別サピックスオープンでは合格可能性が80%だったが、知識型の合格力判定サピックスオープンでは20%も1回とってしまった。「開成に受かりたい」との気持ちを貫き通して、スランプを乗り越えた。
・算数オリンピックや全国テストで悔しい思いをしたときに、勉強に対する姿勢が良くなった。
・受験が終わってから、「もっと勉強しておけばよかった」という後悔をしないように、自分を信じて努力することが大事。
・6年生の12月に骨折。絶望したが、「今までやってきたことは簡単には崩れない。」と気持ちを切り替えて、冬期講習、小学特訓を左手で乗り切った。
・模試で、合格可能性が40%~60%のときが多く、本番も手ごたえも微妙で合格するかは五分五分と思っていた。あきらめずに頑張っていたのが良かった。
・模試で合格可能性が下がったときもあったが、一喜一憂せずに自分を信じることが大事。
(切磋琢磨の重要性)
・開成コースで自分より賢い子たちと切磋琢磨したことが一番の鍵だったと思う。
・6年生の全国統一テスト決勝大会で、優秀な子と競い、努力の大切さに気付いた。
・6年生のゴールデンウィーク明けから開成選抜クラスに入った。授業内容や先生方が良く、後ろ向きだった自分の姿勢ががらりと変わった。
(その他)
・毎日コツコツと努力してください。でないと、直前時期や入試で絶望することになります。
・6年生のはじめの開成同日体験受験で、あまりにひどい成績を取り、強い危機感を覚えて、本腰を入れて勉強を始めた。
・遅くまで勉強の日も多い中、ストレスがたまらないように、それでも、なるべく早めに寝るようにした。
・家での勉強に身が入らなくなった時期に、家での勉強をやめて、夕方から塾の自習室で勉強した。
・毎日7、8時間の睡眠をとり、朝7時には起きるよう生活リズムを守ったのがよかった。
(直前期、本番)
・本番が近づくにつれて次第に不安が増していった。塾の所属校舎の先生方の励ましやアドバイスで自信を取り戻して、本番を迎えた。
・入試直前、「合格するぞ!」ポスターを家中に120枚貼った。
・第1志望に合格するまで、併願校に受かっても気を抜かない。
・12月、1月の試験では、凡ミスが多く不合格もあったが、試験を重ねるごとに凡ミスの数が減ってきました。複数校を受験することは本当に大変ですが、試験慣れをしたことで、複数受験をしてよかった。
・前の教科の結果が良くなさそうだと感じても、全て忘れて次に集中すべき。他の人も解けていないはず。
○学習法・勉強法
(苦手教科をなくす)
・苦手の国語の記述で苦戦する中、週テストや過去問の解き直し、そして、塾の先生に添削をお願いするといった取組を最後までやり続けることで、入試本番では苦手の国語に助けられた。
・苦手の国語は、「漢字の要」をこつこつ進めて、読解で分からないところは質問教室にいって頑張った。
・苦手の国語の特訓をした。先生に質問に通った。
・全体の成績も悪くないし、苦手科目の国語を放置したら、開成のサピックスオープンでそのツケが来た(第1回偏差値43、第2回51)。入試までの3カ月で第特訓した。
・苦手教科の社会は、プリントや教材(地図帳、資料集、年代暗記など)をみたり、それにマーカーを下敷きをつかって文字を見えなくして問題のように解いた。電車の中でもそれをやった。
・渋幕が目標だったが、6年9月から、開成の過去問にチャレンジするも、算数に苦戦。解こうとする気持ちがなくならないよう、時間を計らずに1日2問やるなど、まずは、算数に慣れることにした。最後まで過去問では合格最低点に届くことはなかったが、挑戦して合格をつかんだ。
・自分は、理科の知識が不足していた。また、夏から秋にかけての模試や過去問演習で算数が不調だった。そこで、6年後期は、算数と理科を重点的に勉強した。
(基礎の重要性)
・社会の暗記を一生懸命やった。自分で「語呂合わせ」を作ったり、覚えられるまで何度も問題を解いた。
・暗記は、4、5年生から早めにしっかりやっておいた方が良い。
・理科、社会は基礎を確認。(コアプラスを活用した。)
・理科、社会はコアプラスをしっかりやった。これが基本。
・コアプラスは必ずやる。
・「理科、社会で手堅くとる必要があり、あとは、国語か算数の勝負になる。」との塾の先生のアドバイスを元に、点数のとれそうな社会を万全にした。
・国語は漢字、語彙をしっかりやった。特に、語彙は重要。
・毎日のルーティン(基礎力トレーニングなど)を守る。
(弱点・間違えた問題の復習の重要性)
・1年間最上位クラスをキープできたので、5年生の夏に、「自分は勉強しなくても大丈夫だ」と勘違いして、勉強をサボるようになった。6年生に突入し、受験が近づいてくると、マズイと思い真面目にやったが、最上位コースには上がれずにいた。学校別サピックスオープンでも満足する結果が出ないまま、受験まで3カ月を切っていた。苦手分野の6年生のテキスト全般とSS特訓の教材を全て復習。1カ月半でこれらをやって、SS特訓で間違えた問題は、正解するまで解き直した。
・週ごとのテストの結果をみて、苦手な単元や分野を発見して、早めに軌道修正した。
・苦手科目の復習が重要。
・志望校対策のプリントは、繰り返してやった。
・苦手な問題は3回は解きなおす。
・社会が苦手で、家族が買ってくれた参考書をやったり、資料をラミネート加工して風呂で見るようにしたり、努力して、あやふやだったところを減らした。
・算数は、基本的な解法を身につけること。多くの基本的な解法を身につけていれば、応用問題にも対応できる。
・テストでは、間違った問題を理解できるまで、やり直す。正解していたけど、実は、完全に理解できていなかった問題のやり直しも重要。
・テストで思うような点数がとれなくても、ひとまず落ち着いてしっかり復習した。
・算数は図形がよく出るので、テキストや立体切断の復習が重要。
・間違えた問題や知識は書きためて、何回も見直すと有効。
・自分はよくミスをしていたが、「本番だけミスをしない」ことはありえない。日頃から、ミスをしないように取り組むべし。
(過去問の重要性)
・過去問は10年分やった。間違えたり、解けなかったりした問題には再チャレンジした。そして、まだできなかった問題について3周目をやった。
・過去問を解くようにすること。
(スランプからの脱出法)
・得意科目の算数と国語で、入試直前2カ月前から急に、単元に関係なく点数を落とすようになったので、今までやった教材の間違えた所や、まとめ問題で、もう一度おさらいをした。
・合不合判定テストは良いのに、開成形式の試験になると別人のようにできない。特に、算数が安定しない。算数の過去問20年分を解くなど、とにかく開成形式になれるようにした。
・夏のスランプを塾の先生の励ましで乗り越えた。
・6年4月頃まではテストの点数も良かったが、それ以降テスト結果が悪くなっていって、12月頃も成績が安定しなかった。自分でも危機感を感じて、テストのやり直しなどをしっかりやるようにした。また、塾の先生に相談して、「不安になった時こそ、問題をいっぱい解けばいい。」などのアドバイスをもらった。
・6年生の7月にサピックスに転塾。最初の頃、成績が下がっていったが、SS特訓をしっかりやるようにしたら、途中から上がってきた。
(直前期、当日)
・直前期は、知識系を完全におさえるようにした。
・1月下旬は、学習すればするほど、得点に結びつく知識事項を学習した。
・受験直前は新しいことをするのではなく、基礎的な知識問題を間違わないように、徹底すべき。それだけでもかなり効果あり。
・「やれることは全てやった」と実感できるようになったのは、1月末。
・理社の志望校対策プリントは必ずマスター。直前期に目で追うだけでも効果あり。
・直前期に、コアプラスの理科と社会を全部やった。基礎の確認に最適。
・直前期に、それまで受けたテストや過去問の復習をやった。
・本番では、自分がこれまでしてきた努力を思い出して、「できる」と思って臨んだ。
・それまでに作った間違いノートを入試当日に見直した。
・本番、分からない問題を後回しにする。
・大切なのは時間配分。分からない問題は、飛ばす勇気も必要。
・当日、算数の大問1問を読み間違いで落としてしまった。焦る気持ちを抑えて、他の教科でしっかり挽回すべく、立て直した。
・一つの教科で失敗したと思っても、それに影響されずに次の教科に臨む気持ちの切り替えが大切。
・算数でケアレスミスをしてしまったが、1つの教科がだめでも合格できるかもしれないと思い、後の教科にしっかり取り組んだ。
・入試に向かう朝、京葉線が止まった。車と地下鉄でギリギリ到着。気力で乗り切ったが、何が起こるか分からないので、ゆとりを持った出発が大事。
・いざ試験を受けてみると、例年と傾向が違うように思い、あせってしまった。呼吸を整えて、冷静になって取り組んだ。
・得意の算数の立体図形で間違いに気づいた。理社も難しかったが、最後まであきらめなかった。
(その他)
・どのような図や表を書けば問題が解きやすくなるか、を意識して演習を積むことが大事。
・入試問題の傾向を理解して、勉強の内容に気をつけることが重要。国語は、記述問題の演習が重要であるなど。
・とにかくSS特訓が良い。これをフル活用すべき。
・国語は長文読解が出るので、文章を早く読む練習をした。
・理科では、植物の知識を完璧にすべき。
・社会では、東京問題の対策をしておくこと。
・先生が大切と言った知識は必ず覚える。(社会で細かい年代を覚えるように岩絵れて、こんな知識が必要なのかなと思いながら覚えたら、本番で出た。)
今回は、ここまでです。