今回は、ある一人の新中学1年生をご紹介したいと思います。
この4月。
日本棋院東京本院で、新たにプロ候補生「院生」となった、岩崎晴都さんです。
「院生」とは、囲碁アマ五、六段以上の棋力の14歳までのプロ志望の子どもたちを受け入れ、競わせて成績上位者をプロ採用する制度のことです。在籍期間は、17歳まで。
院生となるのも大変な狭き門ですが、院生からプロ棋士への道は、更に狭き道のようです。
日本棋院東京本院では、毎年約60人が院生として参加。(※今年の院生は約50人。)4~6月に行われる研修(院生同士の対局)の勝敗で序列が決まり、1位者だけがプロになれる(夏季採用)。10~11月実施の冬季採用では、予選を通過した一般の受験者と院生研修の上位者のあわせて計16人で総当たりリーグを行い、上位2人がプロになれる。
(THE SANKEI NEWS)
厳選された約50人の中で、プロ棋士への道は、たった3枠なんですね!
岩崎さんは、1歳で白血病を発症し、その後、再発。父親から骨髄提供を受けて移植するも再々発。臍帯血移植を経て、危機を脱したそうです。
でも、闘病の副作用の一つで、視力のほとんどを失いました。盲学校に通っていた岩崎さんは、小2で囲碁と出会います。黒石と白石の違いならば、何とか分かるとのこと。
小5でアマチュア強豪の指導を受けて、7ヶ月でアマ初段から六段に。
「すごい子がいる」という話がプロ棋士の信田成仁六段につながり、指導を受けるようになりました。
「才能はもちろん、集中力が突出している」
(朝日新聞デジタル)
視覚障害者の院生は、前例がないとのことです。
岩崎さんの対局時は、視覚障害者用の特別仕様の碁盤が使われています。
碁盤に目を近づけても、配石が崩れないつくりとなっているそうです。また、白石は平面で、黒石には突起があり、触って区別することができます。
3月にこの盤で試し碁を打った他の院生たちから、これを本番に用いることに異議は出なかったとのこと。
狭き門から、さらに狭き門へ。
そこにたどり着くには、計り知れないほどの信念と努力が要るはずです。
「才能と集中力が突出している」と、プロ棋士から評価された岩崎さんであっても、厳しい道のりであるのだろうと思います。
まだ、新中学1年生。普通なら遊びたい盛りの年頃ですが、今の岩崎さんには、囲碁で強くなることが全ての毎日なのでしょう。
明日、4月3日。
岩崎さんの院生初対局が行われます。
岩崎晴都さんの挑戦を応援していきたいです。
今回は、ここまでです。