おばばのブログ

2022年中高一貫校へ進学。大学受験(2028年)。東進スーパーエリートコース受講中

詩の読解(レモン哀歌-高村光太郎)

今回は、高村光太郎の詩集、「智恵子抄」の中のレモン哀歌についてです。

 

この前、ピヨ太と国語をやろうということになったんですが、

「疲れたから、詩なら文章も問題も少ないから、詩がいい!」

ということで、6年の「栄冠への道」の第33回にある、高村光太郎のレモン哀歌をやってみることにしました。

 

読んでみると、すごい詩ですね。

 

そういえば、中学生か高校生の時にも読んだなと、記憶が蘇ってきました。

その時も印象的な詩だとは思いましたが、今回ほどの感動はなかったと思います。

 

年を重ねる中で、失うことの恐ろしさや貴重な一瞬の大切さが、子どもの頃よりは、分かってきたからなのかもしれません。

 

特に、大人の場合、

・福島の故郷を離れて東京で暮らすうちに、智恵子が精神を病んでしまったこと

・高村光太郎が、精神を病んで子どものような言動をする智恵子を全力でサポートしたこと

・智恵子が結核になって、亡くなる直前であること

といったことも前提に読んでみると。

 

智恵子の今わの際、レモンをかじって正常な意識をとりもどし、生涯の愛を一瞬の間、光太郎に伝えてから、深呼吸を一つして息絶えた、その場面では、悲しみと最後の一瞬の尊さに、思わず涙がこぼれそうになります。

 

このように忘れていた名作に、思いがけず出会えると、子どもの国語の勉強につき合ってよかったと思います。

(ピヨ太にも、この詩のインパクトを説明してみましたが、小学生には実感しにくいようでした。)

 

 

レモン哀歌

高村光太郎

 

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉のどに嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
山巓さんてんでしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう

 

 

今回は、ここまでです。

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