今年2月、中学受験終わってすぐの時期に、東進のスーパーエリートコースに入りました。
毎日曜日に行われる数学のLIVE授業は、先日、中1生の全授業が終了しました。
そこで、1年間を振り返るとともに、東進スーパーエリートコースとはどのような講座であったか、感想を書いてみようと思います。
入塾時のガイダンスをまとめたものが、以下の記事です。
【東進スーパーエリートコース】
1.選抜試験について
試験は、算数1科目です。
☆入塾の機会は小6の2月のみ、100名募集
2022年は、選抜試験は2回ありました。
2月6日(日)が初回、追加募集が2月20日(日)
我が家が受けたのは、追加募集の回(以下の記事参照)。
今年度は、2回目の方が人数が多く合格率は低かったとのことでした。
2回とも受けられるのかは定かではありませんが、調べてみるとSNSでは2回ともチャレンジしたと書かれた保護者の方もいらっしゃいました。
指定校に合格した新中1生のみの選抜試験です。
※指定校一覧
○開成○筑波大学附属駒場○聖光学院○麻布○桜蔭○渋谷教育学園幕張○駒場東邦○栄光学園○浅野○海城○早稲田○東京学芸大学附属○豊島岡女子学園○筑波大学附属○女子学院○武蔵○渋谷教育学園渋谷○雙葉
年々受験者数が増えているそうです。
初年度の合格率は50%でしたが、4期生を迎えた2022年では33%、筑駒生で7割、開成生で5割の合格率とのこと。
男女比率は、8:2くらい。
全統小決勝進出者、全統中決勝進出者も、多く在籍しています。
開成生が最多で、各男子校は満遍なく多く、女子校では桜蔭、女子学院、共学では渋谷教育学園が多いようです。
合格発表は東進のHP上で行われ、受験番号と進学先の学校名が並記されます。
過年度、若干名ですが指定校以外の学校の合格者がありました。
受験資格については、厳密に指定校制度をとっているようです。
ただ去年度でいうと、HPからの申し込みの他に、四谷大塚の全統小や合不合の受験者の成績をもとに案内が送られました。
我が家も案内を頂きましたが、そこに『指定校の合格者で他の学校へ進学する場合は、合格証の写真の提出をもって、選抜試験の受験を許可』というような文言があったように記憶しています。
前受で渋幕に合格して進学せず、東京や神奈川の学校へ進学するような場合がこれにあたると思います。案内を頂いたうえで上記に該当する場合は、受験資格があるということだったかもしれません。
案内がもう手元にないので確実な記憶ではないことと、選抜試験の条件なども年によって異なるかもしれませんので、参考まで。
2.コースの継続資格と特待
スーパーエリートコースは中1~高3の6年間のコースで、東進の特待生です。
入塾金以外は、数学の全授業が無料となります。他の科目も受講する場合は追加料金がかかります。
東進は、スーパーエリートコース以外にも、「数学特待」という制度があって、全国統一中学生テストの成績などをもとに判定されます。「数学特待」生も、同じように数学の全授業が無料で、他科目は追加料金となるようです。
スーパーエリートコースが、いわゆる一般的な塾の特待と大きく違う点は、映像授業などの東進のシステムを利用できるだけでなく、コース独自の授業やイベントがあるところです。
週1回の数学のLIVE授業と、ワークショップ等が、用意されています。この他、英語のLIVE授業やプログラミングの講座もありました。
数学のLIVE授業については、東進のHPに各学年を担当する先生が紹介されています。
【資格維持について】
スーパーエリートコース生の資格維持のためには、厳しい条件が設けられています。
〇週1回のLIVE授業の100%受講(配信授業もあり)
〇東進の映像授業を受講し、設けられている進度を達成する(中1で数ⅠA、中2で数ⅡB/ⅢC、中3で受験数学)、判定テストはSS合格のみ認められる。
〇中1生は全国統一中学生テストの全学年部門(中3までの同一テスト)、中2、中3生、高1生は全国統一高校生テスト、中3生後半からは東大本番レベル模試への参加が必須。それぞれに目標得点が設けられている。(中1生は全統中の全学年部門で数学偏差値65以上)
中1生は約100名で始まりますが、中3生では30名ほどに減っているというようなお話が授業であったようです。でも、4期生の学年はもう少し残留率が高そうな雰囲気があります。
3・映像授業について
映像授業で勉強を続けることについて。
コロナ禍の緊急事態宣言下で、塾の映像授業を受けたご家庭も多いかと思います。塾の先生方も工夫をされて最大限頑張って下さっていましたが、小学生の集中力ではやはり対面授業の方が圧倒的に分がありました。
東進は、映像授業が主要な塾であるだけあって、力のある先生方が講義をしている映像授業の内容は、とても良いものだと思います。
東進の数学の授業は、さまざまなレベルが用意されています。
スーパーエリートコースで指定されている授業は、中学数学については中高一貫生用のコースで最難関レベルのものです。
これを1巡で終わらせた後、高校数学は真ん中のレベルのものから始め、数Ⅲまで終わったら再び数Ⅰに戻り、徐々にレベルを上げながらスパイラルで受講していくことになっています。
世の中には突き抜けた数学の能力の方々がいて、スパエリ生でも、東進の授業を爆速で進めて、中1の間に数Ⅲまであっという間に終わらせしまうお子さん達が次々と出ます。
ただ実際は、継続資格をクリアしていくのは、並大抵のことではありません。
何とかぎりぎりでついていっている我が家のような状況のご家庭も、他にもいるかもしれません。
※ご参考までに、我が家の進行状況は。
所属校舎からの発破もあり、小6の入塾直後、一気に進めました。
この時期は中学受験の名残で勉強習慣もあり、中学入学を控えてモチベーションも高い時期なので、ここで一気に進めておかなければ、あとが厳しくなったと思います。中学数学の最初の部分なので、レベル的にも一気に進めやすいところだと思います。
入学後は、中学校生活に夢中になり、全く進まなくなります。また、体育系の部活に入ると練習や大会などで疲れているので、さらに(学校の勉強すら)やらなくなりました。中学生がどのくらい勉強をしなくなるのかについては、受験生時代はなかなか想像できないところです。
その間も、週1回のLIVE授業は続いていて(配信授業も利用しながら)、青木先生の授業の面白さが唯一のモチベーションとなって、時々思い出したようにポツリポツリと進めていました。
夏前は継続資格が危うい状態でしたが、夏休み中に一気に進めました。
部活や用事の合間合間に、とにかく東進の校舎へ行って、ひたすら受講。校舎では、一人一人に広めの受講ブースが用意されていて、大学受験が迫っている高校生たちの迫力にも影響されて、家より集中して受けられるとのことです。
スパエリ生の受講している中学数学は、とても難しいです。後半で進み方が遅くなり、さらにその後に数Ⅰが待ち構えているのかと思うと、これを終わらせることができるのだろうかと、当時は絶望的な気持ちになりました。
何とか中学数学を終えて進んだ数Ⅰは、急にスイスイと捗りました。
中学数学は、中高一貫生用の中でも最高難易度のコースが指定されているのに対し、高校数学は、ちょうど真ん中あたりのレベルのコースが指定されています。
中高一貫校は先取りのカリキュラムで数Ⅰにも食い込んでいるので、数Ⅰの授業の最初の方では重なる部分が多いとのこと。さらに、難易度がだいぶん下がるので、一気に楽になったように感じたそうです。
中学数学後半で行きづまったご家庭は、あと少しで山を越えれば数Ⅰは少し楽になってスイスイ進むはずということを目安にすれば、頑張りやすいかと思います。
【数学の進度について】
一方、我が家にとっての問題点は。
やはり、進度が速すぎるというところです。
中学数学は最難関のコースが指定されていて、それぞれの単元では初歩的なことから入りますが、数問のうちにあっという間に難易度が上がっていきます。
何とか理解して、その時はSS判定(90%以上で合格)で進めても、本人もしっかりと身についた自信がなく、「あの単元は少しあやふやだから、もう1回やりたいなあ。」と言ったりするのですが、そんな時間はどこにもなくて、何とか期限をクリアするために必死で前に進んでいくしかない状態です。
また、中1の年度(中学受験塾より年度終わりも早い)で数Ⅰまで終わらせるという進度の速さで、進めば進むほど学校の数学との進度の差が乖離していき、進学塾通いで言われる「塾が予習で学校が復習」というサイクルにもならなくなっていきます。
そういう次元ではないお子さんにふさわしい講座と言ってしまえばそうなのですが、我が家としては、なかなか悩ましいところです。
中学数学終了後は、高校数学をスパイラルで進むとのことなので、そのあたりでは良くなるかもしれません。
4.数学のLIVE授業について
中1生の担当は、青木先生です。
(東進の「スーパーエリートコース」のページでも紹介されています。)
授業内容は、とても難しいです。
「東大合格が目的じゃない。東大生のトップにいるような学力の子が数学の力を伸ばせるようにする講座」だと、保護者も参加した初回のLIVE授業でお話がありました。
(合格できたらそれだけで御の字ですよと、おばばは心の中で思いました。)
中1生対象の数学の講座としては、これ以上難しいものはほとんどないのではないでしょうか。
中高数学を爆速で進められるような、通常の塾の授業では物足りないような数学に秀でたお子さん達にとっても、意義のある講座だと思います。
中1生のLIVE授業は合同式から始まり、最後は積分までやります。
本当にそんなことが可能なのかと、当初は思いました。
それでも、我が家のような数学初心者でも、難しさに唸りながらも青木先生の面白い授業に夢中になっていきました。
「公式を暗記するな」がモットーの青木先生の授業は、自分で考えて解くように、数学の本質的な面白さを教えてくれる授業だったようです。
青木先生の語り口は、抱腹絶倒のギャグを次々繰り出すタイプではおられないようですが、「そこはかとなく面白い」そうです。
LIVE授業をすべて終えた今、「青木先生とはどんな先生だったか?」と息子に聞いてみると、被せ気味に「青木先生は神」と返ってきました。
ちなみに最後のLIVE授業の日は、中2年度のLIVE授業(中1の12月開始)を担当される寺田先生もご挨拶でいらしていたそう。
「寺田先生はどんな方だった?」と聞いてみると、「めっちゃイケメン」と返ってきました。
まだ授業を受けていませんが寺田先生の授業も「神」でしょうし、青木先生もイケメンかと思います。
5.スーパーエリートコースは何推しか
ここで、スーパーエリートコースの性格というか、コース生に対して何を推しているのかについて考えてみたいと思います。
この1年間の感想としては。
〇数学推し
〇であると同時に、英語推しでプログラミング推し
〇東大推し
〇でもあり、海外大学推し
〇かなりの度合いで理系推し
〇未来のリーダー推し
〇であり、ノブレス・オブリージュ推し
数学、英語、プログラミングの分野は、今後もますます重要性が増すでしょうから、東進としては、確かな学力はもとより、これからの国際社会で活躍するような人材を育てたいということかもしれません。
6.ワークショップについて
スーパーエリートコースが、一般的な塾の特待と異なるのは、独自の講座があることです。
先ほど書いた「数学のLIVE授業」とともに、コースの根幹を成しているのが「ワークショップ」です。
このワークショップは、始めにゲスト講師の方のお話があります。
その後、数人のグループに分かれてディスカッション、グループごとにまとめたものを全体に対してプレゼンをするという流れになります。
グループのメンバーは予め決められていて、おそらく同じ学校同士のお子さんでは組まないようになっているようです。
今年度の講師の方々は20代が中心で若く、極めて優秀で、才能にあふれ、独自の道を切り拓いて活躍されている方々です。
東進生出身の方々なので、東進からも「コース生の皆さん、君たちの先輩ですよ。」というスタンスで連れてきてくださるのですが、あまりにも雲の上過ぎて、先輩という感じがしません。
理系分野で活躍されている方だけでなく、音楽界に進まれた方もいらっしゃいました。
親としては、ここまで突き抜けた方々ではなくて、もう少し普通の会社員として日々働いていらっしゃる方々のお話の方が参考になるのではないか(親の職業以外の分野は、あまり知る機会もないですよね。)と思ったりもしました。
ただ、子どもの受け止め方は違うようです。
優秀が中でも優秀で、努力を積み重ね、ご自身の信念に従って道を切り拓いてこられた若い方の言葉というのは、中学生の心に大きく響くものがあるようです。
東進が、大学合格を目指す塾であると同時に、子どもたちに大きな志を持ってもらいたい、社会に貢献するような人に育ってもらいたい、そんな思いをもってこのコースを作ったのだということが、伝わってきました。
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記事タイトルの「東進スーパーエリートコースとは」という問いに、この1年間を過ごさせていただいた我が家の感想は。
「算数・数学を好きなお子さん達にとって、素晴らしい学びの機会を得られる講座」です。
今回は、ここまでです。