今回は、コメが品薄になっている中、なぜ備蓄米を放出しないのか? についてです。
朝日新聞(2024/9/1)に記事が載っていたので、紹介します。
・農水省が全国のスーパーなど約1千店舗を分析したところ、コメの購入が前年同期と比べて4割ほど増加
・南海トラフ地震臨時情報などの影響と見られ、「消費者は9月分を前倒しで買っている状態」(農水省幹部)
・大阪府の吉村知事は91万トンある「政府備蓄米」の放出を農林水産省に求めた。
・ところが、昨年度のコメの作況指数は「101」で平年並み
・坂本農林水産大臣は、「(備蓄米放出について)米の需給や価格に影響を与える恐れがあるために慎重に考えるべきだ」(8/30)
・農水省は「日本全体で見ればコメはある」との見方
・一方で、店先からコメが消えたのは事実
・なお、東京都内のコメの卸売り大手によると「業務用米」はあまり影響を受けていない。「業務用米」はブレンド米が使われることが多く、一部の銘柄が品薄になっても、他の銘柄を配合すれば供給は維持できるし、年間の販売計画に沿って予め確保されている。
・この卸売り大手の担当者によると、「新米も出始めるこのタイミングで放出されると、価格が混乱する。価格が下がれば農家の反発も避けられない。」と備蓄米放出に否定的
こんな内容でした。
大まかにまとめると、
ー昨年のコメの作況は平年並みで、コメの供給が少ない訳ではない。
ー南海トラフ地震情報があり、家庭での買いだめが起きたので店頭にコメが少ない状況になっているが、国内にコメが無い訳でもないし、新米も出てくるのに備蓄米を放出するとコメの値段が急に下がるのでコメ関係者(米農家やコメの流通業者)の反発もあるので、備蓄米は放出しないですよ。
といったことのようです。
昨年のコメの生産が少ない訳でもないし、ここ1,2カ月で急激にコメの消費量が爆発的に増えた訳でもなく、「家庭での急な買いだめ」が米不足の理由のようですね。
皆が報道に動揺しすぎることなく、過剰な買いだめを避けるようにすれば、ほどなく米不足も解消するということなのでしょう。
そのような見込みにも関わらず備蓄米を放出すると、せっかくの新米の価格が急激に下がって、コメ農家やコメの流通業者が困ってしまう、ということですね!
噂が噂を呼んで皆が極端な行動に走ると、結局、皆が困ってしまう、ということでしょう。
大阪府の吉村知事の「備蓄米を放出すべき」との意見も、それだけ聞くと ”そうかな” とも思いましたが、コメ価格の急落の恐れもあるのであれば、簡単にできる話でも無さそうです。
こんな経験をすると、”社会における困りごとについては全て自分でないものの責任にする”というのではなく、何事も自分事でもあるとの意識も重要なのかもしれないな、と思ったりしました。
今回は、ここまでです。