児童向け絵本の名作、「ぐりとぐら」の作家である中川李枝子さんが89歳で亡くなられたそうです。
謹んでお悔やみ申し上げます。
このことについて、朝日新聞(2024/10/19)に記事が掲載されていました。
こんな内容です。
〇「ぐりとぐら」の作家である中川さんは、都内の保育園で保育士として勤務
〇その仕事の傍ら、創作活動を開始。園児をモデルにした「いやいやえん」で1962年に作家としてデビュー
〇翌年、代表作「ぐりとぐら」シリーズの1作目を発表。双子の野ねずみが森で大きな卵を見つけ、カステラを焼いて動物たちと仲良く食べる物語
〇当時、ホットケーキが出てくる絵本「ちびくろ・さんぼ」が大好きだった園児のために筆を執った。絵は、妹の山脇百合子さん(2022年死去)が担当。
〇「ぐりとぐら」は現在までに発行部数571万部のロングセラーに。英語や中国語、韓国語などに翻訳され、世界中の子ども達に親しまれている。
〇このほか、「ももいろのきりん」、「そらいろのたね」など、幼児向けの物語を多く書いた。
〇アニメ映画「となりのトトロ」の主題歌である「さんぽ」の歌詞も手掛けた。
〇歌人の俵万智さんは、4歳の息子が幼稚園に行きたくないと言い出した時に、「いやいやえん」を一緒に読んだそう。
〇同い年の主人公が保育園で、「はなくそを、なめました」といった描写に、大喜び。「物語の中に自分の仲間を見つけたようでした。」
〇「いやだ、いやだ」と駄々をこねる主人公は何をしても叱られない「いやいやえん」に連れていかれた後、保育園が懐かしくなる、という物語
〇俵万智さんは、「息子も翌日は元気に幼稚園に行きました。(中川さんは、)きっとそういう子どもをいっぱいご存じだったのだと思います。物語の力で息子を楽にしてくれ、親の私も助けられました。」と振り返った。
こんな内容の記事でした。
そうなんですね!
「ぐりとぐら」の作者と「となりのトトロ」の「さんぽ」の歌詞の作者は、どちらも中川さんなのですね。
「さんぽ」といえば、
あるこう あるこう わたしはげんき ♫
あるくのだいすき どんどんいこう ♫
ってやつですね。
そして、「ぐりとぐら」といえば、自分が小さい頃にも読みましたよ!
家の近くの図書館で借りたのですが、いっつも大人気で中々借りることができなかったので、やっと借りることができた時にはとても嬉しかったのを覚えています。
そして、読んでみると、期待通りの面白さ!
ぐりとぐらの作るおっきいカステラを食べる森の仲間がうらやましい気持ちになったものです。
そして、そのお話は「ちびくろ・さんぼ」の影響を受けていたなんて。
そういえば、「ちびくろ・さんぼ」も、自分の大好きな絵本の一つでした。
「ちびくろ・さんぼ」を追いかけるトラ達がグルグルと猛スピードで回りながら走るうちに、溶けてバターになってしまって、そのバターで美味しいホットケーキを焼いておやつにしてしまうんですよね!
今考えてみると、これはものすごい発想で、”よくそんなことを思い付きましたね!”といった感を禁じえません。
「ちびくろ・さんぼ」のホットケーキも、読みながら自分でも食べたくて仕方ない気持ちになったのを思い出します。
「ぐりとぐら」に話を戻すと。
大人になって、なんとなく、料理が得意な野ねずみなので、「グリル(料理)」から名前をとって「ぐりとぐら」なのかな、と漠然と思ってました。
今回、この機会に調べてみると、朝日新聞デジタルに中川さんのインタビューが載っていました。
〇「保育士の時、子ども達に読んでいた絵本に「プッフとノワロ」という絵本がありました。野ねずみが「グリッ、グル、グラ」と歌う場面になると、子ども達も大合唱になるの。そこから名付けました。」
〇「となりのトトロ」の歌については、
「宮崎駿男監督から「映画を離れても、子どもたちが口ずさめる歌を」と注文がありました。私が子どもの頃過ごした札幌市や福島市の自然豊かな風景や子ども様子です。」
「私は小さいときから自然の中を歩くのが好き。幼い頃は戦争中で、いつ爆弾が落ちてくるかと空ばかり見ていました。だから、広々したところで手足を動かして、自由にころがったりはねたりしたかった。」
「保育士になり、子どもたちとよく散歩をしました。子どもは1日1回思いっきり走らせたい。子どもは外が大好きなのよ。」
そうだったんですね!
子ども心に「野ねずみの名前とかストーリーとか、おしゃれな感じのお話だなあ!」って思った記憶があり、なんとなく、ヨーロッパ原作の絵本だと思い込んでいたのですが、欧州の絵本に影響を受けていることがその理由だと、今日初めて知りました。
こうしてみると、中川さん自身の子どもの頃の経験、そして、保育園で可愛がった子ども達の経験に基づいているから、「ぐりとぐら」にしても、「となりのトトロ」にしても、長く子どもに愛される作品が生まれたのだと思いました。
そして、自分としても、年を重ねてた今でも鮮やかに記憶に残る貴重な思い出をくれた「ぐりとぐら」の作者、中川さんに心からの感謝をささげたい、そう思いました。
今回は、ここまでです。