おばばのブログ

2022年中高一貫校へ進学。大学受験(2028年)。東進スーパーエリートコース受講中

「十戒」(夕木春央著)は「十戒」を破っていた!

今回は、「十戒」(夕木春央著)が「十戒」を破っていたことについてです。

最近、夕木さんの大人気ミステリー、「十戒」を読了しました。

 

若い頃は読書が大好きで、色々な小説を沢山読んだものでしたが、ミステリーにはそれほど手を出していませんでした。

 

そして、近年は、日々の生活に追われていることを理由に、スマホや雑誌ばかり見ていて、読書の機会自体がめっきり減っています。

 

こんな中、世の中で、好評を呼んでいるらしい「十戒」を読んでみたところ、すごく面白かったので、関係の記事を書いてみます。

 

まず注意頂きたいのですが、これから書く内容は完全にネタバレなので、これから「十戒」を読むかもしれない方は、この時点でこの記事を読むのはストップ頂ければと思います。

大丈夫でしょうか?

 

それでは、続きを始めます。

 

「十戒」と聞くと最初に思いつくのは、「モーゼの十戒」ではないでしょうか。

 

「モーゼの十戒」については、旧約聖書に書かれています。

 

エジプトを脱出したユダヤ人が、紅海を前にエジプト兵に追い詰められます。

そこでモーゼが神に祈ると、紅海が真っ二つに割れて道ができ、そこを通ってユダヤ人は逃げることができました。その後、エジプト兵がそこを通ると海が元通りになって溺れ死にます。そして、その後、モーゼがシナイ山にて神から授かった戒律が、「十戒」でした。(「Wikipedia」「世界の窓」より)

 

このモーゼの十戒に発想を得て、夕木さんの「十戒」では、瀬戸内海の無人島に集まったメンバーの中で殺人事件発生後、犯人から「十戒」が示されることになります。

 

曰く、「犯人を捜してはいけない」「犯人の意に背けば島を爆破する」などなど。

 

そして、最後にドンデン返しがあり、主人公と行動を伴にし、ある意味探偵役だった綾瀬さんが犯人であることが明かされます。

 

無人島で用意された物語のしかけ、それまでの登場人物の心理戦、そして、明かされた犯人の行動の流れがととても面白く、本当に読んで良かったと思いました。

 

そして、読んでる途中、「綾瀬さんが怪しいな」と思ったのですが、冒頭に、

「主人公が綾瀬さんにはアリバイがある」

といっている訳なので、

「綾瀬さんは犯人ではない」

と思い込んでいました。

 

後から考えて、

 

「もしかして、これは少しずるいのでは。確か、ミステリーの原則みたいなのがあって、それに抵触してなかったかな?」

 

と思って調べてみると。

 

「ノックスの十戒」というのがありました!

 

これは、自らミステリー作家でもあったノックスさんが、ミステリーを書く際のルールを1928年に発表しているものだそうです。

 

そして、Wikipediaに書いてある「ノックスの十戒」は以下の通りです。

 

1.犯人は、物語の当初に登場していなければならない。ただしその心の動きが読者に読みとれている人物であってはならない。

2.探偵方法に、超自然能力を用いてはならない。
3.犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が1つより多くあってはならない。
4.未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない。
5.主要人物として「中国人」を登場させてはならない。
6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない。
7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない。
8.探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。
9.サイドキックは、自分の判断を全て読者に知らせねばならない。また、その知能は、一般読者よりもごくわずかに低くなければならない。
10.双子・一人二役は、予め読者に知らされなければならない

 

そして、この第9戒にある「サイドキック」とは、主人公の相棒のことだそうで、例えば、名探偵ホームズから見た「ワトソン博士」のこと。

 

つまり、「十戒」でいえば、綾瀬さんが「サイドキック」に当たる訳です。

 

こうしてみると、夕木さんの「十戒」は、「ノックスの十戒」を破っていることになります。

 

もちろん、「ノックスの十戒」を破った名作も数多く書かれているそうですし、そもそも、ノックス自身も「ノックスの十戒」を破ったミステリーも書いているそうです。

 

なので、「ノックスの十戒」を破ること自体は、その作品がよくできていれば大きな問題ではないのでしょうが、

 

「『十戒』が『十戒』を破っている!」

 

というのが面白くて、自分では大発見をした気になりました。

 

ところが、ネット検索をしてみると、既に複数の方が、このことについて書かれています。

 

考えてみれば、ミステリー好きの方の中には、「ノックスの十戒」を知っている方も多く、なので、これに気づいた方は沢山いたはずです。

 

このため、大発見をしたような気持ちが一気にしぼんだ訳ですが、気を取り直して、この「ノックスの十戒」を改めて読んでみると、第5戒の

 

5.主要人物として「中国人」を登場させてはならない。

 

には不思議な感を持ちました。

 

どういうことなのか、Wikipediaの記述に自分の想像を加えると。

 

“中国人は頭脳が優秀でありながら、モラルの点で劣る者が多い”とノックス自身が書いていて、当時の西洋人にとって中国人は”謎の能力”や”謎の行動”、”謎の心理”を有しているようです。

そこで、登場人物に”謎の能力”を発揮させたり、”謎の行動”をさせて、「これは中国人だから」と作者が言い訳するのは、フェアではない、といったことのようです。

 

これも、少し面白い話ですね。

 

これは単なる冗談ですが、夕木さんも、当然に「ノックスの十戒」の第9戒を破っている自覚はあったのでしょうから、ついでに、第5戒も破ることにして、ラスト1行で、

 

「綾瀬さんは実は中国人だった!」

 

ということにしても良かったのでは、と思いました。

(→繰り返しますが、これは全くの冗談です)

 

今回は、ここまでです。

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