今回は、なぜ日本人のための資本主義と株式市場改革が重要なのかについてです。
今週の週刊エコノミスト(12/7号)の特集は、株式市場改革についてです。
その中に、岡三証券グローバル・リサーチ・センターの吉田理事長のインタビューがありました。
吉田さんは、日本人が日本株を持てる「資本主義」が必要である、と言っています。
どういうことなんだろう?
来年4月から、日本最大の証券取引所である東京証券取引所の再編が実施されるそうです。
目的は、
・現在5つある市場(東証1部・2部、マザーズ、ジャスダック(スタンダード・グロース))を3つに整理して、分かりやすくすること
・各市場の上場基準を厳しくして、企業をふるい落とすことも厭わず、成長性のある企業が生き残る環境を整えること
そして、今の東証1部に相当するのが、「プライム市場」とのこと。
プライム市場に上場するには、「流通株式比率」が35%以上必要。
流通してない株式(流通してないので、情報が十分オープンでない)
の割合が大きいと、そちらの株主の判断によって、流通している株主の持っている株価が左右されるので、透明性が十分でない、といった理由なのでしょうか。
そして、この流通株式には、原則、「株の持合い分」を除くそうです。
プライム市場に入りたいなら、不透明な「株の持ち合い分」を減らしなさいよ、
ということのようです。
ここで、吉田理事長の主張は、邦銀の「株の持ち合い分」については、「流通株式比率」の35%の制限をもっと緩くしてもよいのでは、との意見のようです。
邦銀については、不透明な「株の持ち合い分」を認めても良いのでは、ってなんでなんでしょう?
吉田理事長の主張は、おばばが理解した範囲では、こんな感じです。
(経済に疎い面があるので、間違ってたら、教えてほしいです。)
「邦銀は、他の邦銀や日本企業と株の持ち合いをすることで、お互いに支え合っている。」
→
「支え合って安定しているから、邦銀は、国民から集まった預金を使って、リスクを取って日本株を買うことができる。」
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「ということで、邦銀が日本株を買うということは、間接的には、日本人が日本株を買っていることにつながっている。」
→
「日本人が日本株を買わないと日本人のための資本主義にならない。(外国人は、短期的な株価の変動で儲けたり、日本企業のためたお金を配当として吐き出させることに関心がある場合が多いので、長期的に日本人のためにはなりにくい。)」
→
「なので、邦銀が安定して日本株を買えるように、つまり、日本人が日本株を持てるように、邦銀の「株の持ち合い分」は緩くしてもいいのではないか。」
といったことのようです。
確かに、日本人が日本企業の株を長期的に所有することが、日本を支えることになるという主張は、とっても分かりやすいです。
最近、レストランで隣ににいた若い男の人達のグループの話題が、「どうやって株で儲けるか」ばかり。
本屋にも、日本株では儲からないから、米国株で儲けるべき、といった本が並びます。
もちろん、株で短期的な利益を追求するのは、個人の自由ではあります。
ですが、日本人が短期的に日本株を売買したり、外国株を買うよりも、長期的に日本株を所有することで長期的な日本企業の発展を支える方が、結局は、日本の経済発展により、個人・日本企業・日本の経済社会全体のそれぞれに三方良しの結果をもたらすのではないでしょうか。
今回は、ここまでです。