今回は、溶解度についてです。
固体は、高温になるほど、水に溶けやすくなる(高温ほど溶解度が高い)傾向があります。
けれども、気体は、高温になるほど、水に溶けにくくなる(高温ほど溶解度が低い)傾向があります。
う~ん。逆ですね。。
なんでなんでしょうか?
これは、高校物理の範囲になってきます。
まず、水の温度は、実は、「水(の分子)の動き方の激しさ」を示すものです。
これを頭に入れて、考えます。
温度が低いと、水(の分子)の動きは鈍く、温度が高くなっていくと、水(の分子)の動きは、激しくなっていきます。
温度が低く(0℃より低い)、固体の状態では、「氷」です。動き、鈍っ!って感じですよね。(「動き鈍い」というより、人間の目では止まって見えます。)
0℃を超えて、液体の「水」になると、流動的で、それなりに動きます。
100℃を越えて、蒸発して気体(水蒸気)になると、「水」から飛び出して、空気中を飛び回るようになります。動き、早っ! ですね。
(この説明は、実は、不正確ですが、イメージ作りには分かりやすいと思います。)
さて、固体が「水」の中で、溶ける場合を考えます。
水(水分子)が固体にぶつかって、少しづつ、固体が溶けることになります。
この時、温度が高い方が、水(水分子)が固体にぶつかる勢いが激しいので、より、固体が溶けやすいことになります。
それでは、気体は、どうなんでしょう?
そもそも、気体は、固体や液体に比べて、動きが激しいので、水に溶けていても、水から空気中に飛び出しがちです。
炭酸水なんか、コップにいれておくと、溶けている二酸化酸素が「泡」になって出てきますよね。
この炭酸水の例でも分かりますが、ただでさえ、水に溶けている気体は、水から飛び出しがちです。では、温度が高くなっていくと、どうなるでしょう。
温度が高くなると、水(水の分子)の運動が激しくなります。すると、水の中に溶けている気体に、水の分子が激しく衝突します。すると、溶けている気体も激しく動いて、ますます、水から空気中に飛び出しやすくなります。
このため、気体は、高温になると水の中に溶けていることが難しくなるわけです。それで、気体は、高温ほど、水に溶けにくくなります。
以上が、気体は高温ほど溶けにくく、固体は高温ほど溶けやすい理由です。
【これ以降は、おまけです。】
ちなみに、普通の固体とは違って、高温ほど溶けにくくなる固体もあります。
有名なのが、水酸化カルシウムです。
消石灰ともいわれます。校庭のグランドに白線を引くときの粉ですね。
それでは、なぜ、水酸化カルシウムは、高温ほど、溶けにくいのでしょうか?
これまた、高校物理になります。
「ルシャトリエの原理」というものがあります。
化学平衡(バランスがとれている)の状態で、熱を加えると、その熱を打ち消す方向に化学反応が進む、というものです。
また、水酸化カルシウムを水にとかす化学反応は、発熱反応です。
つまり、消石灰を水に溶かすと、温度が上がります。
逆に、水に溶けた水酸化カルシウムが、溶けない状態の固体に戻る反応は、吸熱反応です。温度が下がる反応です。
さて、水酸化カルシウム水溶液に熱を加えて、温度を上げると。
「ルシャトリエの原理」で、加えた熱を打ち消す方法に化学反応が進みます。
つまり、温度が下がる反応(水酸化カルシウムが固体に戻る反応)が進むことになります。なので、溶けにくくなってしまうことになります。
これが、水酸化カルシウムが高温ほど、溶けにくくなる理由です。
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今回は、ここまでです。