今回は、2021年2月1日に行われた開成同日模試の感想・国語編です。
大問2問で、物語文1問、論説的な随筆1問です。
まずは、物語文から。
内容は、貧しい家の小学生「拓也」が
・遠足のための新しい運動靴を買ってもらえず、穴の開いた片方の靴を親に糸でぬってもらったこと
・裕福な家の同級生「和子」と川で遊ぶうちに、和子の新品の靴を妬む気持ちから、間違って和子の靴を川で流してなくしてしまう出来事
の中での気持ちの動きが描かれています。
文章の内容は比較的素直で、分かりやすいと思いますが、何しろ文章が長いので、文章を読み慣れていないと苦労すると思います。
漢字の問題では、新品の靴を買って欲しい拓也に対して、「【 】返事ばかりで、買うとも買わないとも言わない、いいかげんな、はっきりしない母親の返事」として、【】内に漢字を1字入れる問題です。
大人ならば、【生(なま)】返事と書くのはそれほど難しくないかもしれません。
四谷大塚の解答も、【生】返事になっています。
ところが、ここで疑問が生じます。
【空(から)】返事でも、良さそうな気がしてくるのです。
ネットの広辞苑で調べると。
「空返事」は、
「相手の言うことを聞かず、いいかげんに返事だけすること。うわべだけの返事。生返事。」
とあります。
原文では、生返事なのかもしれませんが、国語の問題としては、【空】返事も正解ではないかと思います。
実際の開成の採点基準は、どうなっているのでしょうね。
そして、今回の一番の難問が、「『今まで何度も見てきた和子の顔が、拓也の知っていた和子とはちがっているように思えた』のは、なぜですか?」です。
四谷大塚の解答には、「ズックを川に流されても怒らず、片足が素足のまま文句も言わずに歩く和子に心の広さを感じた」
とありました。
そうなのかもしれません。
でも、物語なので、色々な読み方が可能な気もします。
拓也は、糸でぬった自分の靴を履くことを提案したけど、和子がそれを受け入れるかどうか、全く分からなかったので、和子の返事を緊張をもって待っていたと思います。
そう考えると、
「拓也のズックをはくとの提案を受け入れてくれるのかどうか、よく知っているはずの和子の気持ちと返事が、この時ばかりは拓也には全く予想がつかなかったため。」
といった理由もありえるのではないでしょうか。
これについても、採点基準を設定するのが非常に難しい問いになっており、実際の開成の採点基準が気になりますね。
次に、論説的な随筆の問題です。
こちらは、皆がやっているとか、従来の成功体験にとらわれて柳の下の「どじょう」をねらうのではなく、自分の頭で考えて、自分のつく仕事や、自分の取り組む内容を決めていくべきとの趣旨の文章です。
グローバル化、IT化、AI(人工知能)など、世界で大きな変化が進んでいる中において、重要な視点について書いた良い文章で、さすが開成、といったところでしょうか。
問題の方は、非常に難しいわけではないかもしれませんが、何となく分かっても、十分点を取れる、相手に伝わる記述内容にできるかどうかで、点差がつく問題だと思いました。
今回は、ここまでです。