「線虫がん検査」について、学会が”精度に懸念がある”として調査開始したそうです。
「線虫がん検査」とは、これを世界初として宣伝をしているN-NOSEのホームページによると。
『嗅覚に優れた「線虫」という生物ががんに含まれる特有の匂いを検知することで、高精度、低コストにがん検査』
だそうです。
ちなみに「線虫」とは、ウィキペディアなどによると、
・体は細長い糸状
・土壌や海洋中に色々な種類、そして莫大な数が存在
・目に見えないものから1mm程度の目に見えるものまで
だそうです。
この「線虫がん検査」、気になる費用をN-NOSEのHPで見てみると。
【1回検査:14800円】
だそうです。
高いようにも思えます。
けれど、簡単に検査できそうなので、これでがんリスクが高いとなって精密検査をして、早期発見につながるのであれば、あながち高くないのかもしれません。
それでは、朝日新聞に記事(2023/10/14)が載っていましたので、概要を紹介します。
・今年6月(2023年)に開かれた日本がん検診・診断学会総会では、「線虫がん検査」の精度の低さを指摘する発表が複数あった。
・学会は、「線虫がん検査」について、精度に懸念があるとして、全国調査を始めた。
・全国調査の副代表(陣之内正史医師)は、「がんのない人が高リスクと判定されることで、各地で混乱を招いているおそれがある。また、実際はがんなのに低リスクとされた結果、がん検診を受けるのが遅れて、がんが進行してしまう恐れもある」
・全国調査は、「線虫がん検査」をきっかけとしてPET検査(陽電子を使った比較的信頼性の高い従来の診断法の一つ)を受けた方についての情報を報告をしてもらい、年内に結果をまとめたいとのこと
・「線虫がん検査」(N-NOSE)を行っているHIROTSUバイオサイエンス社は、PET検査にはN-NOSEの感度を検証する能力はなく、また、アンケートはバイアスがかかりやすい手法などとして、「信頼のおける検証にはなり得ません」とコメント
なかなか、難しい問題ですね。
「線虫がん検査」に使われている線虫ががん患者の尿の臭いを好み近づいていく性質があるとの研究はあるそうです。
その性質を使った「線虫がん検査」にどの程度の信頼性があるのか、これは、今回の学会の全国調査を含めて、今後の科学的な調査や検討にゆだねるのが良いのではないでしょうか。
そのような状況を理解した上で、関心のある方は検査を受ければよいですし、従来の比較的信頼性の高い方法によるがん検診の方が安心と考える方は、そちらを選べば良いと思いました。
今回は、ここまでです。