今回は、”首都圏 子育て格差バトル”についてです。
朝日新聞(2024/5/23)に記事が載っていました。
新聞記事の見出しが「首都圏 子育て格差バトル」となっていたので、東京都と隣接3県(埼玉県、千葉県、神奈川県)の間で”バトル”が繰り広げらているのかと思いました。
実際に記事を読んでみると、東京都の子育て支援の施策に危機感を強めた隣接3県が国に対して要望を行い、これに関する色々な発言が続いた、ということのようです。
”バトル”という程かな? との感もあり、記事の見出しをセンセーショナルにして、読者を引き付けようとする面もありそうです。
という訳で、記事のポイントは次の通りです。
・今年度(2024年度)から、東京都は高校無償化の所得制限を撤廃し、更に、公立学校の給食無償化にも乗り出した。既に、18歳以下の子どもへの月5千円の給付も行っている。
・これを受けて、危機感を強めたのが隣接3県(埼玉県、千葉県、神奈川県)の知事。自治体の財政状況によって子育て支援で格差が生じないよう、国に措置を求めた。
・これに対して、小池知事は気色ばんだ。
「支援の違いは、プライオリティ(優先順位)の問題。財政力の格差を原因とする主張は地方自治の否定につながる」
・更に、隣接3県も発言
(埼玉県大野知事)
「埼玉で、高校無償化と月5千円の給付を実施した場合、他の行政サービスが行えなくなる。税の偏在性の問題に他ならない。」
(千葉県熊谷知事)
「東京都の行革努力が3県や全国と比べて突出しているので、支援が実現している訳ではない。」
(神奈川県黒岩知事)
「国が一律にやるべきで、決して東京都がおかしい、といっている訳ではない。」
・そして、盛山文部科学大臣は。
「国の支援と、上乗せとしての自治体の支援の両方あるのが望ましい。」との趣旨の発言
こんな感じでした。
小池知事の発言にあった、「(自治体のお金を何に使うかという)優先順位の問題。財政力の格差によるものではない」との主張は、少し厳しそうですね。
やっぱり、”東京都は税収が多いから、強力な子育て支援策ができる”というのが事実に近いように思えます。
この点は、小池知事よりも、埼玉や千葉の知事の発言の方が説得力があります。
そして、千葉県知事の、ここまで支援に差があれば居住の選択に影響を与えるかも、との危機感も分かる気がします。
そこで、隣接3県は、国に対して、「支援に格差が生じないように」との要望をした訳ですね。
ところが、国は、煮え切らない答え。
おそらく、内心、こんなとこだろうと思います。
「東京都は税収が多いので、手厚い支援ができる。だけど、全国一律に東京都のような支援を行うには、国の税収が不足しているので、大幅増税しないと無理。そして、増税批判が大きい中で、月500円程度の保険料の増額でさえ批判が大きいのに、もっと高額の増税なんて世の中に受け入れられる訳がない。」
なかなか難しい問題だと思います。
北欧のように税金を高くして、高福祉を実現するかどうか、といった議論かと思います。
スウェーデンは、消費税が25%(食品は軽減税率で12%)!
だけど、基礎学校・高校・大学が無償!
もちろん、スウェーデンについても、国の収入でいえば消費税だけでなく税金全体や保険料、そして、支出でいえば、子育て支援だけでなく、医療、年金などなどの全体を見ないといけなくて、単純な議論はできません。
とはいっても、よく言わるように、日本と比べて「高負担高福祉」というのは間違えない訳ですね。
難しい問題ですが、とにかく、東京都の子育て支援は非常に手厚くなっていることは確かなようです。
今回は、ここまでです。