今回は、ビヨンセが今なぜ「カントリーアルバム」を出したのか? についてです。
朝日新聞のGLOBE(2024/5/5)に記事が載っていて、興味を引く内容だったので、ポイントをまとめてみました。
・世界的スーパースター、ビヨンセの新作「カウボーイ・カーター」は、自身初のカントリーアルバムとして米国で大きな話題となっている。
・カントリー音楽は、伝統的に白人の音楽と位置付けられ、数少ない黒人のカントリー・ミュージシャンは白人リスナーの獲得に苦労してきた。
・ビヨンセでさえ、2016年、傑作の誉れ高いアルバム「レモネード」収録のカントリー曲を、この年のカントリー音楽授賞式で同郷の白人グループと歌って、白人カントリーファンからブーイングを受けたこともある。
・実のところ、カントリーと伝統的な米国黒人音楽であるブルースは同じルーツを持つ。
・非常に簡単に言うと、奴隷時代に、黒人が白人のために演奏した(演奏させられた)音楽が、後にカントリーと呼ばれるようになり、黒人が黒人自身のために演奏したものは、ブルースと呼ばれた。
・その後、現在に至るまで、米国社会の人種の分断、それに基づくレコード会社のマーケティングによって、二者は異なる音楽と認識されるようになったのだ。
・テキサス出身のビヨンセは、カントリー音楽やカウボーイ文化にもなじんで育った。
・にも関わらず、黒人であるがゆえに、カントリーを歌ってブーイングを受けたことにおののき、改めて音楽の歴史も学んで、5年がかりでカントリーアルバムを完成させた。
・それでも、オクラホマ州のカントリー専門のラジオ局は、リスナーからのリクエストに対し、「カントリー専門局としてビヨンセをオンエアーしません」と答えて、SNS上で炎上している。
・このように、ビヨンセのカントリーへの挑戦は、”黒人テキサスっ子”ビヨンセの、米国社会における人種分断への挑戦でもある。
こんな内容でした。
おばばは、カントリーもブルースも全く知識を持っていませんでしたが、両者の背景をしった上で、世界的なスターであるビヨンセがカントリーを歌う難しさを知ってみると、改めて、現在の米国社会で問題となっている「人種の分断」の根深さを感じます。
米国では、今年秋の大領領選を見据えて、人種のみならず、民主党と共和党、富裕層と労働者階級などの「分断」に注目が集まっています。
けれど、この「分断」は、大統領選イヤーを迎えて急に生じたものではなく、長期にわって米国社会に刻まれ、克服されてこなかったものが、改めて顕在化しているだけなのだと感じました。
自由と言われて、経済的にも最も強い米国ではありますが、その社会には、いまだに種々の大きな「分断」を抱えて、その完全解決には遠い状況にあるらしいことが分かりました。
今回は、ここまでです。